第2日目 8月23日(日)チューリヒからツェルマットへ
[晴]
チューリヒ中央駅へ

チューリヒ中央駅
黄色の出発用の時刻表

朝6時過ぎ目覚める。ぐっすり眠り、時差で夜中に目が覚めるということはなかった。カーテンを開けると、朝日が地平線から昇ろうとしているところ。昨夜の雨はすっかり上がり、晴天だ。6:45に1Fのレストランでビュッフェ方式の朝食、野菜もフルーツもたっぷり、ハムベーコンもパンも色々あり、ここの朝食がスイスで食べた朝食では最高だった。8時前にスイソテルをチェックアウト。簡単な片言英語で通じ、特に不自由ではない。

エリコン(oerikon)駅はスイソテルのすぐ前。駅の窓口で氷河特急の食堂の予約をしようとするが、乗ってすぐ予約すれば良いと言う。もう一度ホテルの周囲の街をぐるっと一回り散歩。澄み切ったさわやかな空気で大変気持ち良い。
駅の地下通路をくぐって、8:21入ってきた列車に乗り込む。スイスの鉄道は改札口が無く車内で検札する仕組みになっている。フリーの3日間有効のスイスフレキシーパスで、早速日付を書きいれる。が、乗車時間が短かったためか、検札には来ず。

チューリヒ中央駅がいくつ目か心もとなく、窓の外をしっかり見ていたが、2つ目でチューリヒ中央駅へ到着、終着なら地上の櫛型ホームだが、終着ではないので、ホームは地下の23番ホーム。上に上がって行きたいが、どこへ行けば良いのかわからず、きれいなスイス人の若い女性に、「Iwant to go to クール、Where?」と聞いたら、方向を指差しながら「ここを真っ直ぐ行って、左に上がるといい」と英語で教えてくれた。礼を言って、そちらの方向へ、エスカレーターで上がると、駅の真ん中の広場に出た。天井の高い広場で、上野駅を一回り大きくしたような感じ。改札口が一切無く、開放的な感じ。

早速、クール行きのホームを確認するため、時刻表のボード見ていると、中年のおじさんが声をかけて来る。全然言葉がわからないが、どうも「違う違う、こっちだこっちだ」と言ってくれてるらしい。私たちが見ていたボードは白いボードで到着時刻用だった。出発用は黄色のボードなのだった。「9:10発8番ホーム」と確認。

まだ時間あるので、駅構内をうろうろ、ホームレスも1人見た。日本と同じ真っ黒な垢だらけの格好だった。スイスも失業率は日本よりちょっと高く5%程で景気は上向いているものの厳しいらしい。駅の構内では自転車を引っ張っている人も多い。スイスでは自転車も一緒に運んでくれる車両がついているのだ。また改札口が無く、ホームと構内区別がなく、そのまま列車に乗れてしまうのにはちょっと戸惑う。

クール行き列車

車窓のチューリヒ湖
車窓の池と牧草地

9時前に8番ホームに行く。手前は1等車で、それが何両も連なり、2等まで結構歩く。2等車に乗ってみるとボックスごと空いている席は少なく、空いている方に行こうとしたら中年の小太りのおじさんが、「ノー、ノー」と目配せしてくれる、そこは喫煙コーナーだった。スイスの車両は1車両ごとに禁煙と喫煙が分かれていてガラスで仕切ってあるのだった。で、そのおじさんのボックスが空いていたのでそこへ座り、お礼と言おうと思って「Can you speak English? 」と聞いたが、ノーと言われて話しがつながらなくなった。

Wifeの隣には、高校生くらいの若い娘が後から来て座り、Wifeが拙い英語でいろいろ話しかける。9:11列車は発車のベルも無く、すーっと走り出す。1分遅れだった。まもなく車掌が検札に来た。

隣に座った女の子は、名前はCarla Schmid、16才でオルテンという北部の町からクールの友達のところへ行くのだと言う。(写真は「スイスで出会った人」に)英語が辛うじて通じる程度、話しの中で、彼女は、ドイツ語・フランス語・英語・スペイン語・ラテン語の5カ国語を勉強していると言う。英語すらおぼつかない私たちに比べて、これは凄いと本当にびっくりしてしまった。

列車はチューリヒ湖畔を南東に向かって進む。湖のすぐ脇を線路が通っている。湖の対岸には牧草地と点在する家々が見える。まさにスイスらしい光景だ。
チューリヒ湖畔は、なだらかな丘という感じだが。湖から離れると、急に大きな山が迫ってきて、いよいよアルプスの山に入っていくという感じ。ライン川らしい川も渡る。

クールから氷河特急で

クール駅のホーム 氷河特急
食堂車のワイン注ぎ 氷河特急から見える
ブリューネッグホルン

スイスの列車は正確だと言われていたが、チューリヒ発が1分ほど遅れた上に、クール着が6分ほど遅れ10:50着、乗り換えにかなり焦る。降りてすぐ黄色の時刻表でツェルマット行きの氷河特急のホームを確認。急いでそのホーム(確か7番線)へ。入口に立っている車掌にWhere is 2nd car(2等車)? と聞くと、前の方を指差す。一番前だった。
2等でも指定席で、私たちの席にドイツかフランスの中年のおばさんが座っていたが、すぐどいてくれる。Wifeは荷物を置いて、食堂車へ予約の申込みに行く。

この線はFO(Furka Oberalp Bahn)で、エリコンからチューリヒ、クールまではSBBのスイス国鉄だが、FOは私鉄。
10:57氷河特急が動き出す。Wifeはなかなか戻ってこない。そのうち、食堂車のイタリア人らしい男性の給仕が予約をとりに回ってくる。

Wifeが戻って来て、1等車のパノラマ展望車が空いているからそちらへ移りたいという。で、車掌と拙い英語で交渉。いくらかと聞いたら、通過したばかりの駅からツェルマットまでの区間を計算、2人で123.2SF。日本のJRのグリーン料金と比べてやや高いが、まあ、これぐらいの贅沢は良いだろうと移ることにする。車掌の誘導で1等車へ、空いてる席に座らされるが通路側。窓側には客は居らず、窓側へ移っていいかと聞くと車掌は「ダイニングから戻ってくるはずだ」という。やむなく、通路側で、展望を楽しむ。天井までガラス張りで太陽がさしてきて暑いくらい。

食堂車
ほどなく、12時になり食堂車へ。2人用の席に座り、メニュー見て、簡単なコースを頼む。飲み物はミネラルウォータを注文。コース料理は肉とパスタと人参を炒めたもの。パスタと人参はお代わりが出来、周囲の欧米人は皆お代わりしているが、私たちは十分。この辺に欧米人との体格の差の元を感じる。隣りのドイツ人かスイス人がワインを注文するとイタリア人?の女性給仕が、注いでくれる。揺れる車内なのに、50センチくらいの高いところから、小さなグラスめがけて、一滴もこぼさず、見事に注ぐ。拍手喝采。食堂車は一番後ろで、デッキから遠ざかる線路や山なみが見れる。

氷河特急というものの、氷河が次々に見える訳ではなく、2個所ばかり、遠くにホンのちょっと見えただけだった。それでも、森と林があり、急流の灰色の川があり、草原あり、牧場あり、点在する家々があり、緑の高原を赤い列車が行く風景はいかにもスイスらしい。また車窓から見える町には必ず中心部にすーっと高く尖った塔の教会があり、ひときわ目立つ存在だ。
アンデルマットでは停車時間が長そうで、ホームに降りてみる、さすが高原、日差しは強いのにヒンヤリとした空気。

ブリークから山へ
ブリークに近づくと、雪を頂いたアルプスの山も見え始める。ブリークで、何分か停車。いよいよ山へ登っていくが、フィッシュまではSBBと並行して走る。そこから南に向かって急な山を登っていく。左手には深い谷底が見える。欧米人達はおーっと声を上げるが、これくらいの渓谷は日本では珍しくない。

1時間ぐらい登ると、真っ白い北向きの峰が見えてくる、おーっとこちらは声を上げたいくらいだ。何という山か、その時はわからなかったが、後で調べるとワイスホルンの北にあるブリューネッグホルンだった。

テーシュ駅の手前の広場に自動車がびっしり並んでいる、何かイベントやっているのかと思ったが、実はツェルマットでは、ガソリンカー乗入れが禁止されており、このテーシュで電車に乗り換えるための駐車場なのだ。テーシュを過ぎてツェルマットに近づくと、車窓から前方に大きくアルプスが見えてくる。ブライトホルンとクラインマッターホルンだ。

ツェルマットへ

ツェルマット駅前の馬車
スネガから見たマッターホルン
ツェルマットのホテル
ラ・ジナベル
拡大写真17KB

ツェルマットへ16:45到着。駅前には馬車と電気自動車が沢山待っている。駅を出ると右手にマッターホルンが見える。おーっ遂にやってきたぞ!感動の一瞬。まだ太陽は高い。今日中にスネガに登っておいた方が良いと判断。ゴルナグラート鉄道の脇の余り広くない道を通り、ゴーゴーと灰色の濁流が流れるマッターフィスパ川の橋を渡り、スネガのケーブルカー乗り場へ。

スネガへ
15分おきに出ている。スイスフレキシーパスを提示し割引切符を買う。「往復」ととっさに出ず、「アップ&ダウン」などと言うが通じる。(Go&Return、backでも良さそう。片道の時はOnewayとかUP onlyで通じた)200m位はありそうな長いトンネルの通路を通って、ケーブルカーへ。これは無人運転で、急勾配の階段状のケーブルカーだ。もう閉店の6時に近く、乗る人は私たち以外に2〜3人と少ない。17:20発、ずっとトンネルの暗い中を昇る。4〜5分で、スネガの山頂へ。

外へ出ると、右手真正面にマッターホルンがそびえる。雲が殆ど無く、くっきり晴れてるが、太陽の真下にマッターホルンがあって、逆光になり、まぶしく、やや見にくい。日本の感覚では3時ぐらいに思える太陽の高さだ。スネガに昇るならやはり朝が良いのだろう。でも、東側・西側・北側の眺めは壮観。20分ばかりいて、ホテルのチェックインの時間があるので、降りることにする。

帰りはさすがに満席で、立ったまま。すぐ下のボックスでスイス人の若者達5人くらいが、アコーデオンでヨーデルを演奏、歌も唄い出す。日本人のツアー客が、一緒に手拍子で盛り上がる。たった数分間だけだが、楽しませてもらった。ケーブルカーの出口ではちゃんと切符を確認。

ホテルへ
ケーブルカーを降りて、川沿いに3分ほど歩き、18時前にホテル ラ・ジナベルへ到着。(ラ・ジナベルの Web siteはこちらへ)こじんまりしたした中規模なホテル。4つ星。窓辺にゼラニューム系の花のポットがずらっと並んでいて、さすがスイスのホテル。ホテルでは、まずクーポンを渡し、カードに氏名・住所・生年月日・パスポート番号などを記入、キーを受取り、外出時のキーの保管方法を教えてもらう。

スーツケースはフライバッゲジで駅へ預けたままなので、半券をフロントに渡し、取ってきてもらうように依頼、私たちは部屋へ。
貰ったキーは202で、部屋は2Fのはずなのに、エレベータの表示は0F・1F・2Fとなって、なぜか3Fにある。日本でいう1Fはスイスでは0Fで、日本の2Fが1Fに、日本の3Fがスイスの2Fになる。これは後のホテルもすべて一緒(ヨーロッパ共通らしい)。チューリヒのスイソテルでは部屋が19Fと高い階で気づかなかったのだが、エレベータで降りるとき1Fで降りたら、フロント・ロビーはもう1階分階段を降りて妙だなと思っていた。

部屋は、眺めの良い方を指定して上乗せ料金を払っているだけあって、南西角で、バッチリ窓からマッターホルンが見える。山の上からハンググライダーが降りてくるのが見える、タクシーの代わりらしい。部屋のTVのフランス語放送で陸上競技の大会を中継している。欧州選手権のようだ、3段跳で17m台が出た。チャンネルを替えてみたがNHK-BSは出ない。
スーツケースが届く。チップを5SF用意していたが、ドアを開けたらもういなかった。後でフロントのお姉さんに渡す。(ラ・ジナベルのフロントの写真は「スイスで出会った人」に)

夕食にはまだ早く、19時前に一旦街へ。普通の商店はもう閉まっていて、駅のキオスクだけが開いている。そこでツェルマット周辺の山岳地図とミネラルウォータを買う。

ホテルへ戻って、19時半過ぎから夕食。フルコースだがちょっと変った味。ウェートレスに東洋人の女性がいるので、日本人かと思い、声をかけると、韓国人だったが、日本語もわかるという。チューリヒのスイソテルでは部屋に電気ポットがあり、お湯が沸かせるようになっていて、紅茶なども飲めたが、ここでは置いてない。韓国人ウェートレスのキムさんに言ったら、後でお持ちしますとのこと。ちゃんと持ってきてくれた。
洗面所・バスルームは広い。バスタブはカーテンでなくガラス窓で仕切られているのが珍しい。

第3日 8月24日 ゴルナグラートへ

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